商品のあゆみ
麻布の行商からスタートしたコイズミの事業は、
呉服、繊維から照明、家具、日用家電品の分野にまで広がっていった。
生活に寄り添い、家庭の景色を変えてきたコイズミの
「商品のあゆみ」を振り返る。
麻布の行商からスタートしたコイズミの事業は、
呉服、繊維から照明、家具、日用家電品の分野にまで広がっていった。
生活に寄り添い、家庭の景色を変えてきたコイズミの
「商品のあゆみ」を振り返る。
敗戦から2年目の1947(昭和22)年。コイズミは家庭電化時代の到来を予測し、電気生活用品を開発。そのうちの一つが電気スタンド。フレキシブルスタンドに始まり、カットグラスの組み合わせたカットスタンドや行灯をモチーフとした和風スタンド、そして蛍光灯スタンドの開発へと発展していった。
1953(昭和28)年、石油を燃料とする新しい調理器具、石油コンロを開発。この種の商品は燃料店で販売されていたが、コイズミが初めて電気店ルートで販売を開始、予想を越える大ヒットとなった。
終戦直後は食生活のインフラ復旧のため、電気やガス・石油の調理器具を販売していた。それらは台所で使われるものであり、自然とそこから台所そのもの、つまり、流し台を商品として取り扱うことに移行した。
アメリカ映画「ウエストサイド・ストーリー」(1962年)の公開や、コカコーラの国内販売が本格化。新しい若者文化が急速に育ち、若者は新しいファッションやヘアスタイルを渇望していた。ヘアドライヤーはそれまで、プロユースとして業務用ルートでしか販売されていなかったが、コイズミが電気店ルートに提案したことにより、一般ユース市場が一気に拡大した。
昭和30年代、照明はまだまだ照らすだけの道具だった。コイズミは暮らしに夢と豊かさを提供するため「あかりはインテリア」のキャッチフレーズのもとに、照明器具にデザイン性を吹き込み、選ぶ楽しみや使う喜びにあふれた華やかな照明分野を築いた。
1955(昭和30)年から続いた高度経済成長で人々の生活にはゆとりが生まれ、モノへの投資のみならず、子どもへの投資・教育熱も高まった。これに伴い、子ども部屋、そこに置く学習机の需要も活発に。コイズミは、自社の照明技術を活かして、業界初となる蛍光灯付学習机「蛍雪」を発売した。
畳からフローリングへ、ちゃぶ台からテーブルへ。住宅環境の洋風化に合わせてダイニングテーブルを販売する中、コイズミは鍋料理の際に、ガスコンロの準備に手間がかかる不便さに着目。その準備の手間をいかに省くか。この視点から、手間いらずでそのまま料理できるダイニングテーブル「晩餐」を開発。時代のニーズにマッチした生活提案が受け入れられ、発表直後から爆発的ヒット商品となった。
学習机の新しい販売促進として、テレビCF放映がスタート。理想のファミリーのイメージのあるジェリー藤尾一家のCFや、人気歌手でテレビアイドルの一人だった榊原郁恵を起用したCFも評判をとった。このころ、学習机のライバルは、イトーキ、クロガネなどの先発メーカーだったが、コイズミ学習机は商品力とデザイン力に加え、テレビCFの“援護射撃”によって、競争優位を確立することができた。
1971(昭和46)年には蛍光灯+白熱灯の「ライダーデスク」を発表。「蛍雪」により開拓した家具店ルートの大きな推進力と、仮面ライダーのキャラクター人気があいまって、空前の大ヒットとなった。
インテリアデザインの本場・ヨーロピアンテイストの照明器具。昭和40年代に入って日々暮らしが豊かになる中、人々は住宅のインテリアにも高級感を求め始めた。コイズミはスペイン、イタリア、ドイツなどヨーロッパ生粋の伝統工芸を活かしたシリーズを開発、「ilum(イルム)」として発表。店舗、住宅を問わず幅広い分野で、「本物の味わい/ilum(イルム)」の一大ブームを巻き起こした。
翌年、家具調コタツの爆発的ヒットのきっかけとなった「床でくつろぐ」生活スタイル。和室ではなく、洋室の床でくつろぐ「フロアリビング」という生活スタイルの提案は、これまでの伝統的日本家屋にはない新鮮な提案だった。
1976(昭和51)年には、家具調コタツ「四季の集い」を開発。従来のコタツの概念から離れ、インテリア性の高い座卓に暖房機能を付加し、年間を通じて使える新しいジャンルの家具として、一世を風靡した。
ラバーウッドとは、ゴムの樹液をしぼり取るために植えられる植林木。本来は廃材になるものだが、その硬さと手触り、そして成長の早さにコイズミは着目。成長が早く、値段が安く、安定的に調達できる「一石三鳥」の素材として採用を始めた。
それまでの学習机は、本体と棚の一体型が主流だった。コイズミは、上級生になれば平机として長く使えるよう、棚の取り外しができる設計と、素材・構造の耐久性向上を実現。「6・3・3で12年」のキャッチコピーとともに広く普及した。
オーソドックスな家具市場において、コイズミの発表する製品は新しい生活そのものの提案だった。そのため、売場づくりも従来の単品展示ではなく、生活空間全体を使ったディスプレイが必要となった。これが「生活がよくわかる」展示として広く受け入れられ、その後の家具売り場づくりをリードした。
木製の家具が主流を占める中、コイズミはもう一つの素材、ラタンに注目。自然素材の味わい豊かなラタンは、硬軟いかようにも組めるという特長を持っていた。「麻衣子の部屋」シリーズをはじめ、充実したラインアップは業界に新風を巻き起こした。
1978(昭和53)年、講談社とのタイアップにより「照明の百科」を発刊。「アメニティ」「タウン誌ブーム」「OL貴族」「翔んでる女」「日本女性党」など、この年の流行語をみれば、時代は、快適さへの欲求が高まり女性の自己表現意識が強くなってきたことが読み取れる。人々の、特に女性の価値観が変わってきたことを背景に、「インテリアのあかりとして照明を提供する」という考え方は、抜粋版カタログ1000選に受け継がれ、生活提案型カタログ「あかり専科」として新鮮なデビューを遂げた。
マンションや集合住宅が増えると同時に、リビングの居住空間は次第に狭くなっていった。コイズミは、当時戸建住宅に普及していた吊下げ型のシャンデリアに替え、下がり幅が少なく天井にピタリと直付けできる照明器具・シーリングライトを開発。製品ラインナップもいち早く充実させた。
「家は一生、家具は三代」という言葉に表されるように、当時の日本人の家具に対する考え方は、“家具に暮らしを合わせる”というのが伝統的・一般的だった。しかしコイズミは、高度経済成長の中で起きる暮らしの変化を展望、「家具=生活道具」というコンセプトを打ち立て、“暮らしに合わせて家具を選ぶ”生活スタイルを提案。「ノアの家」、「サファリ」、「ウェストコート」と、親しみのあるカジュアル感覚の家具を続々と発表した。
初めて子どもが学習に取り組む場にこそ、木のぬくもりを。こんな想いをもとに、業界で初めて天然木を使った学習デスクを発表。以降、学習デスク市場では「木のつくえ」の時代が始まった。
省エネへの取り組みとして住宅の断熱性能向上が重視される中、天井裏にグラスウールを敷詰める工法が普及し始めた。コイズミは器具内の熱処理の課題をクリアしたSG型ダウンライトを開発。施工しやすい製品として広く採用された。
省エネ意識の高まりとともに、高効率、静音、瞬時点灯などの特長を持つ照明のインバータ回路の開発が進んだ。コイズミは、照明業界でいち早くインバータ回路を使った照明の製品化に取り組み、商品ラインアップも充実させて個々のニーズに対応した。
照明業界で早くからインバーター器具の開発に取り組んできたコイズミは、業界に先駆けて、学習デスクの照明にもインバーターライトを導入。学習デスクの「新しいスタンダード」が確立した。
90年代に入り、キッチンは「流し台」から「システムキッチン」へとシフトしていった。しかしシステムキッチンには、細部において生活のディテールに合わない点も少なからず見受けられた。家具を生活道具として研究を続けてきたコイズミは、ここに着目。機能性を高めながら、インテリア性も高い家具調の仕上がりのキッチンファニチャー「フレーズ」を発売した。
お得意先からFAXで送られてくる手書きの「発注書」を、ニューロ(学習機能)コンピュータで自動処理するシステム。あらゆるコンピュータメーカーを調査するも、希望にかなうシステムは販売されていなかった。そこで数億円の予算をかけて自社開発へ。記入者一人ひとりの筆跡のクセから生じる誤差を学習して、文字の識字率を高めるシステムの開発に成功。各事業所へ導入し、以来市販も順調。現在日本中で200セットが稼働している。
それまでコイズミが打ち出してきた商品開発コンセプト「家具=生活道具」は、常に生活者の暮らしを見つめる姿勢から生まれた。そして1994(平成6)年、次のステージへと向かうキーワード「生活賢具」が誕生。以降に発売されたアイテムはすべて、「知恵のある道具」であることを重視して開発・製品化されている。
Windows 95の発売により、パソコンデスク市場が急成長。コイズミも、パソコンデスク市場へ本格的に参入開始。後に「HOME STATION」として、パソコンデスクにおけるメジャーブランドに成長した。
OSLO(オスロー)ブランドの商権保有先であった日本発条(株)と小泉産業との間で、製造、販売、製品特許などを含む包括的な商権譲渡契約を締結。OSLOは、「Moving」という機能とアクセントの効いたカラーリングで広く認知されている家具ブランド。「家具は生活の道具」と考えるコイズミと共通する点も多く、提携によって新たな家具製品誕生への期待が高まった。
世界のキャラクター「ディズニー」とライセンス契約。限定取引先とディズニー社との2社コラボレーションの先駆けとなった。その後、学習家具での全面タイアップへと発展。
住宅のさまざまな空間に必要な光はどんな光か。この課題に真正面から取組んだ製品群がE.L.H.(Environment Lighting Harmony)。目的配光と高効率配光を、独自の配光制御技術で両立したシリーズ。2003年現在86アイテムを揃えている。
シックハウス症候群に端を発し、住宅設備や家具の素材の有害性が社会問題化。コイズミでは「ECO宣言」を行い、環境、健康を基準とした家具づくり(コイズミ 健康家具)への取組みを開始。
光触媒を利用して室内の空気を清浄に保つ機能を持った照明器具を開発。光触媒は、有機物質を分解して空気を除菌・消臭するなどの浄化作用を持っており、その作用は紫外線によって活性化される。一方、蛍光灯は、点灯中に紫外線を発している。この二つを組み合わせれば、常に室内の空気は浄化できるという発想から生まれた。シックハウス症候群が社会問題化した当時、発売当初から注目を集めた。
「配光を考慮しながら可能な限り小さく薄く」をテーマに開発したシリーズ。器具が主張し過ぎずに空間の個性を引き出すことができるライティングは、これからの空間の光のつくり方の方向性を示している。
青色LEDが開発されて以降、LEDが次代を担う光源として注目を集め、用途開発にも拍車がかかった。 コイズミでは、フルカラーLEDランプを使用したペンダントを発表。 一つのあかりが白・紫・青・水色・緑・黄・赤・・・とゆっくり変化し、 空間を幻想的に演出する。
照明文化の向上をめざして、1987(昭和62)年スタートした「コイズミ国際学生照明デザインコンペ」。以来このコンペはデザイナーたちの間で確かな認知を築いた。I-ACTIONはこれまでのコンペにおいて、トップ入選した創造性あふれる作品を製品化したシリーズ。
グループ設立60周年記念事業の一つとして、学習家具の開発形態を一新。子どもの生活研究をベースにデザイン活動を行うイタリアのデザイナーと、子ども部屋家具のノウハウを持つコイズミとのコラボレーションで生まれた新ジャンルの製品は、従来の学習家具のあり方を一変させるものとして内外から高く評価された。
小泉産業独自のグローバルネットワークを活かし、世界のトップデザイナーたちがデザインを手がけたシリーズ。クリエイターの圧倒的な個性、洗練されたデザインとともに、明確な機能性も備えている。
スマートなデザインと多彩な演出機能を備えたシンパティカシリーズ。 灯具は、フレキシブルに可動する。コンパクトなサイズと豊富なカラーバリエーションを備え、より自由にあかりのコーディネートを楽しめる。
根強い人気を持つ吹き抜けは、天井が高いために照明器具の配置に課題が伴うケースが多い。一般的には、主照明にはシャンデリア、補助照明にはブラケットやスポットなどを取り付けて照度を確保する。このLiBERAシリーズのペンダントは、天井や壁面への間接光と、下方へのスポット光で照射。直接光と間接光の2つの光を組み合わせ、空間全体を明るく照らすことができる。
2003(平成15)年からシリーズ化してきたD-ACTIONシリーズに、アレッシィのデザインで有名なアレッサンドロ・メンディーニ氏をはじめ、海外の有力デザイナーが参加。多くの魅力的な製品が生まれた。
「机+上棚」から「机+書棚」への発想転換。これにより机と書棚の「合体式」と「分離式」のどちらも使えるようになり、子どもの成長に合わせ、レイアウトも使い方も自由自在にステップアップ。翌年発表された各社の学習デスク新製品のほとんどは、この方式を採用した。
環境に優しい光源・LEDを居室用照明としてシリーズ化。2009(平成21)年には、山口大学との共同研究により、平均演色性評価数Ra(物の色を自然に見せる度合)97という驚異的な性能を世界に先駆けて開発。「人に快適な視環境づくり」をめざすコイズミが、LEDの新たなステージを築いた。
業界で初めて学習デスクの照明にLEDを採用。 蛍光灯とLEDを組み合わせたカクテルライトで、より快適な学習空間を実現。2011(平成23)年には、LEDのみを光源とするハイパワーデスクライトを開発。 電球色と昼白色の組合せによる調色機能も装備し、空間演出の幅を広げた。
高齢者用エイジング電動ベッドの動作機能「らくアップモーション」が、むずかしい寝起きの動きをサポート。なかでも優れているのが、背部が上がりきっても脚部をフラットにすることができる「フットフラット」機能。従来の2モーターではなく1モーターで動かすことができるシンプルな機構が、多くのメリットを生み出しました。
日進月歩で進むLED照明に「光品質」という開発コンセプトを設定。LEDによる省エネ効果と快適な空間演出を高次元で両立することをめざし、器具設計と空間設計のノウハウを結集。2011(平成23)年には、商品ラインナップは2,000アイテムを突破した。
アクリルの端面に光を当て、アクリル面全体を光らせる「エッジライト方式」。この方式は、発光面全体を均質に光らせるのが難しい点や、光のロスが発生してしまう点に課題があった。コイズミは、この課題に対する解決策となる特許を持つ住友化学(株)とコラボレーション。均質性、高効率に加え、光の柔らかさも備えたLED導光板照明を開発・発売した。
業界標準となった学習デスク「ステップアップデスク」の発売から10 年。人々の生活習慣に合わせた学習デスクとして開発したのが「STUDY UP DESK」。リビング・ダイニングで使い始め、子ども部屋・書斎と、生活ステージに合わせて最適な置き場所とそれに応じた組み替えができる。
業界初の電動リクライニングベッド。ライフステージの変化に合わせて使い方を変えられる。まずは普通にリクライニングベッドとして使い、サイドレールを追加することで「自立支援ベッド」に、さらに昇降ユニットを追加すれば「在宅介護ベッド」となり、必要に応じてフレキシブルな使い方が可能。2006(平成18)年、業界に旋風を巻き起こした組み替え型学習デスク「ステップアップデスク」の発想を導入して開発された。
住宅のIoT化が進むなか、約3,000アイテムのコイズミ製品とスマートスピーカーを連携させた「TRee」システムを開発。スマートスピーカー(Amazon Echo、Google Home)に話しかけるだけで、手がふさがっている時のサポート、子どもが勉強しやすい照明環境やくつろぐ・たのしむなどの生活シーンにふさわしい照明環境を、自動制御してくれる。
「道や広場の安全性だけに終始した夜間照明から、人々のための夜間照明に」という発想で開発されたのが屋外照明技術「andon」。屋外照明技術の多くは、主に道や広場の安全性に準拠して開発される。均一な路面照度を確保するため、ポール灯などの高所からの照明が多く、歩行者にとっては必ずしも快適な視環境とはいえない。高位置からの間接照明で柔らかく照らし、常に一定の光だけなくゆったりと変化する光なども採り入れて、“人のこころが感じる光”を提案している。
設計、施工から管理まで、建築の新たなシステムとして、大型プロジェクトで導入が進むBIM(Building Information Modeling)。設計者や施工者の生産性向上に貢献するため、照明専業メーカー初のデータ提供を開始した。
多様化する学びのニーズに応え、「体育・知育・心育」の視点で子どもたちの健やかな成長を応援するプレキッズ事業を立ち上げ。学習家具事業で培ったノウハウを活かし、幼児・未就学児向けに3シリーズの新商品を展開した。