世界にも認められる照明計画の実現に
コイズミ照明が貢献

虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー 虎ノ門ヒルズ ビジネスタワーのオフィスロビー。「DALI」による調光調色設定で、一日の太陽光の移ろいのように、シームレスにあかりが展開します

複合施設虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー

  • 所在地
    東京都港区
  • 事業主
    森ビル株式会社 様
  • 設計
    森ビル株式会社 一級建築士事務所 様
  • 照明設計
    有限会社シリウスライティングオフィス 様
  • 物件写真の撮影:鈴木文人

長年のアプローチが結実

2020年に竣工した森ビル様の「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」は、大規模オフィスや商業施設などを擁する、地下3階、地上36階建ての超高層複合タワーです。国家戦略特区に指定されている虎ノ門ヒルズエリアを、「国際新都心・グローバルビジネスセンター」へと進化させる大きな力になることが期待されています。

森ビル様の社内で本プロジェクトの照明計画の検討が始まったのち、シリウスライティングオフィス様がライティングデザイナーに選定されました。「当社はかねてより両社にアプローチしていましたが、本格的に協業する機会はありませんでした。しかし今回、調光調色を制御する照明演出に関心を持たれ、照明制御システム『DALI』と、それに対応できる当社の器具を高く評価してくださり、協業させていただくことになりました。先輩たちの長年のアプローチがあったからこそ、今回のビッグプロジェクトにつながったと実感しています」(平田)

納入までの高いハードル

当社照明器具を納入したのは、建物の特徴である外装部分の白い庇と、玄関となるオフィスロビー、1階のBRT(バス高速輸送システム)や空港リムジンバスが発着するバスターミナル、そして建物に隣接する提供公園(西桜公園)です。「DALI」を導入したのはオフィスロビーとバスターミナルですが、当時、ここまで大規模なプロジェクトでの導入は前例がなかったため、課題は多かったものの、メンバー全員が、貢献するという強い気持ちとモチベーションで挑みました。

「『DALI』は協力会社様もほとんど扱われたことがなかったため、調光調色の詳細なプログラム作成では、正確かつ安全に施工していただけるよう、制御計画の詳細や機器の取り付け方などを詳しく説明しました。初めてのことも多く大変でしたが、そのぶん多くの学びがありました。自分自身も含め、社内でも『DALI』を取り入れる効果についての理解や説得力がさらに深まったと思います」(佐藤)

「オフィスロビーではビジネスパーソンの活動に合わせ、朝は活動的な気分を高められるような色温度にし、夜は帰路やディナーへと導く落ち着いた色温度にするなど、一日の太陽光の移ろいのように、時間ごとにあかりの色と明るさを制御する試みを行いました。朝、昼、夕方、夜、深夜、常夜灯など、複数のシーン設定をすることで、外部環境との調和を意識しました」(平田)

社内外の垣根を越えたチーム力で困難を突破

シリウスライティングオフィス様の照明計画の重要なポイントの一つとして、ロビーのパブリックアートには極力影を出したくないというご要望がありました。設備設計事務所様や施工をする協力会社様と調整を重ねて1%単位で照度を細かく設定しました。さらに、鏡面のロビー天井に床面の埋込アッパー照明が映り込まないよう、別注器具のパーツ設計を1㎜単位で行いました。

「床面のアッパー照明や天井のダウンライト、そして白い庇をライトアップするアッパー照明はいずれも別注器具です。製作にあたり、シリウスライティングオフィス様にはサンプルを何度もご確認いただき、慎重かつ根気強く仕事に臨みました。大規模プロジェクトであるだけに製作数は多く、課題も多々ありましたが、ご満足いただけたときの喜びも大きかったです」(大川)

「別注器具と照明制御における施工性向上への取り組みが、現場担当の役目でした。特に今回は『DALI』によって一つひとつの器具を正確に制御することがポイントだったため、協力会社様への対応や現場での納まりの確認は慎重に行いました。その都度確認した難度の高い調整事項もありましたが、それらも含め貴重な経験となりました」(坂本)

その他、西桜公園に納入したポール灯、エクステリアスポットライトも別注にて製作しました。「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」は別注器具が多く、なおかつ「DALI」制御のノウハウを駆使した高難度のプロジェクトでしたが、チーム力によって成し遂げ、無事に納入することができました。

イメージ
イメージ
ビルの特徴である“庇”に、間接照明器具を別注にて納入。庇ごとに高さや奥行きが異なり、光を照射する角度が変わるため、課題の多い部分でしたが、社内外の垣根を越えたチーム力によって無事に納入されました

誉れ高きエポックプロジェクト

「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」はコイズミ照明にとってエポックプロジェクトになりました。シリウスライティングオフィス様が手がけた照明デザインは、アメリカに本部を置くIALD(国際照明デザイナーズ協会)の第38回IALD 国際照明デザイン賞でRADIANCE AWARD(年間最優秀賞)を受賞。その連絡を受けた時、「コイズミ照明との協業により栄えある賞を受賞できた、と言っていただけた」(平田)ことは、大きな誉れです。

当社の「DALI」展開は、本プロジェクトの成功によって大きく前進しました。経験値を蓄積できただけでなく、森ビル様とシリウスライティングオフィス様とは新たなプロジェクトでも協業させていただき、「DALI」と別注器具も継続受注しています。

照明に求められる役割はますます高度化し、お客様からのご要望のレベルも高まり続けています。当社はこれからも「選ばれる企業」であり続けるため、あかりを通じた価値提供を追求していきます。

イメージ パブリックアートにはできるだけ影を出さないよう、「DALI」とそれに対応するコイズミの照明器具により、1%単位で照度を設定しました(写真奥)
イメージビルに隣接する提供公園(西桜公園)には、ポール灯とエクステリアスポットライトを納入しています
KOIZUMI SPIRITS
「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」は、「まさにKOIZUMI SPIRITSが凝縮されたプロジェクト」(平田)でした。大規模かつ長期間のプロジェクトには各現場でさまざまな課題がありましたが、担当者たちはそれぞれの立場で根気よく対応し続けました。皆のそうした「素直さ」と「前向きさ」が、プロジェクト完遂の力になりました。
平田 竜次
[開発営業]
コイズミ照明株式会社
平田 竜次
佐藤 絵美
[制御計画]
コイズミ照明株式会社
佐藤 絵美
坂本 拓也
[営業]
コイズミ照明株式会社
坂本 拓也
大川 哲也
[別注器具製作]
コイズミ照明株式会社
大川 哲也