物件写真の撮影:鈴木文人
都内で官公庁や大使館が集積する好立地に、「国際新都心・グローバルビジネスセンター」として誕生した虎ノ門ヒルズ。森タワー、ビジネスタワー、レジデンシャルタワーに続き、2023年7月にはステーションタワーが竣工しました。虎ノ門ヒルズ駅から広がるステーションタワーの地下大空間、ステーションアトリウムに、弊社の特注照明と、国際標準規格の照明制御システム「DALI」が採用されました。2020年に竣工した虎ノ門ヒルズ ビジネスタワーのオフィスロビーにおける弊社の特注照明、照明制御システム「DALI」導入の実績も踏まえ、「ステーションタワーにおいても、建築構造に沿った特注照明の提案が評価され、照明計画の実現に貢献できることになりました。また、屋外階段の照明や、高層階にある新しい情報発信拠点『TOKYO NODE』にも、照明器具を採用いただきました」(渡司)
ステーションアトリウムは、天井高が最大19mの大空間。その吹き抜けに対し、床レベルは3層あり、それぞれ天井までの高さが異なります。竣工後も空間ごとに調整ができるよう、「DALI」を提案。最終的には一灯一灯を制御できるよう照明計画を行い、高いデザイン性、ご要望に応えることができました。
天井の意匠は、鋭角な三角形の組み合わせで構成される複雑な形状で、スリットの幅は端にいくにつれて狭くなっています。スリット内に光源を配置しつつ、天井裏からメンテナンス可能な構造にするという条件がありました。「提案時、照明についてはまだイメージ優先で計画されていました。そこで、設計担当者様やデザイナー様とコイズミ照明が一丸となって、ヒアリングやミーティングを重ね、天井のデザインを活かした理想の光環境を実現するため、特注器具を製作することになりました」(渡司)
実際の照明効果を検証するため、データ上のシミュレーションに加えて、約9mの実物大モックアップを製作。関係者が一堂に会して検証会を実施したことで、イメージの共有化にも役立ちました。「一から手法を考え、器具の選定、検証により、理想の光環境イメージに近づけていきました。難しい挑戦でしたが、お客様がつくりたいと思う空間を必ずカタチにしたいという思いで取り組んでいました」(佐藤)
採用している照明器具は、それぞれ仕様が細かく異なるため、おのずと設計図面の数も多くなります。「当たり前のことですが、手間を惜しまず一つ一つ正確に仕上げていくことで、後の工程に影響が出ないよう注意しました」(藤田)
ステーションアトリウムは、多くの人が行き交う公共空間です。万一の災害時には避難所になることも想定されているため、最大の安全保証が求められました。「地震発生時に照明器具が落下しないことはもちろん、その他の部品やナット一つさえも落下しない構造が求められました」(藤田)
工場で試作品の振動試験を実施し、現場に試験報告書を提出。安全のための対策もご理解をいただきながら開発しました。
商品を現場に納品する工程では、工事を行う現場の効率性を高めるため、緻密な搬入計画に対応。グループ会社であるコイズミ物流との連携で、電気工事会社様のオーダーに従ったパッケージングで納品し、施工現場の作業負担軽減と効率化により顧客要望に応えることができました。「グループ内に物流会社がある強みを活かし、迅速に連携することで、納品時の細やかなご要望にも応えることができました。初回の出荷時は念のため自分も物流倉庫にて最終確認を行いましたが、その後はコイズミ物流に安心して依頼できました」(長浜)
「DALI」に対応したコイズミの幅広い商品群と、個別制御で細かい調整が可能な「DALI」を使った照明計画により、巧緻で美しい天井の意匠デザインを活かした空間づくりに寄与することができました。今回のように手間を惜しむことなく、とことん理想に近づけていく姿勢は、コイズミ照明のDNAに深く刻まれています。「東京を代表する複合施設の顔となる部分に当社の技術と製品が採用されたことはコイズミとして誇らしく、竣工後は家族と出掛け、紹介したくなる現場でもありました」(長浜)
「国内外問わず、プロジェクトに関与する方から、『この人たちとなら』と信頼されるために、対話を大切にして照明の仕事に向き合ってきました。お客様からいただいた感謝の言葉を自信に変えて、これからもお客様の理想の空間づくりのお手伝いを続けていきます」(佐藤)
コイズミ照明は、お客様やパートナー企業との共創で挑戦を続け、照明の力を通して新たな価値を提供していきます。