第6次中期経営計画(2021~2023年)の最終年度を終え3年間を振り返ると、まず2020年に発生したコロナ禍は、私たちの生活様式はもちろん、働き方にも大きな変化をもたらしました。世界各地で起こる災害や紛争などの地政学的リスクも、グループ各社事業のサプライチェーンや物流の混乱、消費者の購買動向に大きな影響を与えました。そうした外部環境に大きく左右されないためにも、グループ各社には、事業ポートフォリオの見直しを急ぎ、第2、第3の柱をつくるように求めてきましたが、長期化したコロナ禍の影響は大きく、既存事業の立て直しに時間を費やした3年間だったように思います。
照明事業では、半導体不足による製造の遅れが販売機会損失を生み、売上を落とすことになりましたが、昨年は半導体不足解消による売上回復に加え、地道な営業活動と利益率改善で大幅に業績を伸ばしました。家具事業では、少子化や学習環境の変化による学習机の販売不振と、急激な円安の進行、輸入コストの高騰、原材料費やエネルギーコストの上昇もあり、依然、厳しい状況が続いています。また、その他事業では、インバウンド需要を見据えたホテルの開業ラッシュを背景に、人手不足による逆風がありながらも、セットアップサービス事業は好業績を確保しています。
第7次中期経営方針(2024~2026年)における小泉産業グループのビジョン「KGV2030」は“ 経済価値×社会価値×人財価値”とし、経営基盤を強固にするために、足元ばかりを見るのではなく、もっと先の未来を見据えて持続可能な事業を大胆に行っていくよう、2030年に向けての経営目標を立てました。その6年先の数値を達成するために、この中期3カ年で何をするのか、また、今期をどうするのか、バックキャストで考えながら進めていきます。そのために、一人ひとりの社員が、今手掛けている仕事が6年後にも存在するのかを自問自答し、今、何をすべきかを考え実行に移しています。その上で、2024年度の基本方針は「人にこだわり、グループ各社の持続的成長と新たなビジネス領域の創造で3つの価値(経済・社会・人財)を最大化する」を掲げました。
“経済価値”については、グループ各社は、既存事業の回復と成長に注力し、小泉産業ではグループシナジーを活かした新規事業の創出を目指します。
“社会価値”については、ブランド価値向上のため、アウターブランディングと同時にインターナルブランディングの重要性を再認識し、会社の理念を明確にし、社員に共感を促し愛社精神を高め、企業・商品ブランドの価値を向上させます。
“人財価値”については、良い人材を育て、これからの100年、200年先へと継続してもらうために、教育への投資は惜しみません。また、人事制度・評価制度を更新し、社員にとってより働きやすい環境を目指していきます。
未来に向け、より一層足腰を鍛え、グループシナジーを発揮して、グループ全体で成長し、社員、お客様、社会にとって「三方よし」のグッドカンパニーになることを目指し続けます。