照明コンセプト「光の面で空間を広げる」を具現化した導光板照明による「光の欄間」
2018年に完成した「京都 神楽岡 蓮月荘」の照明デザインが評価され、当社はIES(北米照明学会)主催の「2019 IES Illumination Awards(北米照明学会賞)」の「Award of Distinction(最優秀賞)」を日建設計様との連名で受賞しました。
IES(Illuminating Engineering Society)は、照明分野を広く網羅した世界中のメンバーで構成される、100年以上の歴史を持つ世界規模の権威ある学会です。同賞は、照明設計を対象とした国際的な照明デザイン賞。専門性、創意工夫、オリジナリティを評価の対象とし、世界各国からの応募作品の中から選ばれます。「Award of Distinction(最優秀賞)」は、その中でも特に優れた功績を称える最高レべルの照明デザインに授与され、過去には数々の著名な建築物や照明デザイナーなどが受賞しています。
2019年度の応募総数は669。その中から佳作257件が選ばれ、最優秀賞に輝いたのはその中のわずか4件でした。「受賞の報せを受けた時は自分の耳を疑いました。日本の伝統的な考えに根ざしながらも現代の要素を取り入れた表現が、評価されたのかもしれません。今回の受賞をきっかけに、顧客満足を実現するだけではなく、その先にある社会に新しい価値を提案することも重視するなど、社内の意識にも変化が起きています。これからも、お客様にご満足いただくことに加え、社会にインパクトを与えられる照明デザインを行っていきたいと思います」(熱田)
「京都 神楽岡 蓮月荘」は、トラスコ中山様のゲストハウス兼保養施設で、京都らしい伝統と格式を備えた建物をめざして建設されました。当社は建築コンセプト「伝統と革新の融合」を実現するため、アクリルと和紙を組み合わせた二つの照明器具をご提案しました。
その一つ『光の欄間』は、光を均一に面発光させる導光板照明を用い、照明コンセプト「光の面で空間を広げる」を具現化しました。設計を統括した日建設計様から、日本建築らしい“和”テイストの導光板を作りたいとのご要望をいただき、アクリルに和紙を挟む手法にチャレンジすることに。「老舗問屋に通い研究を重ねた和紙選びや工場で何度も検証し行きついた最適なアクリルパネル」(松本)のサンプルがお客様の心に響き、採用が決定。「LCRの提案力と、プロダクトに落とし込む製作室の力量、そしてアクリル板製造会社との連携が功を奏したと思います」(小泉)
もう一つは、月の光に照らされた蓮の池を表現した行燈『浮葉』。オーナー様の強い想いが込められた施設名「蓮月荘」の世界観を表現するため、13層のアクリルに和紙を封入する手の込んだ手法を選びました。「『浮葉』4台分、計1,298枚の和紙を手作業で用意しました。それをアクリルに貼り付ける工程はわずか一日で終えなければならず、時間との闘いでした」(熱田)
プロジェクト進行の過程では東京のメンバーと京滋営業所の片野とが綿密に連携し、現場の情報をすみやかにキャッチアップして設計に反映させることができました。「各自がプロ意識と責任感を持って取り組み、仲間を信頼する。そんなコイズミらしい強さが発揮できたと思います」(熱田)
「京都 神楽岡 蓮月荘」は「2019 IES Illumination Awards」(北米照明学会賞)や「2019年照明デザイン賞」優秀賞(一般社団法人照明学会 主催)を受賞するなど、社内外で高い評価を得ています。これを一つのステップとして、お客様の期待に応えるモノづくりをこれからも進化させていきます。