照明業界は、白熱灯や蛍光灯を使用し、明るさを追求していた時代から、ほとんどの照明器具がLEDに変わるという大転換を遂げました。また、IoTやAIなどデジタル技術の発達もあって、さまざまな設備や機器に“つながる”ことが求められる時代にもなっています。つまり、従来の照明器具単体のビジネスから、設備や機器とのシステム連動と高度な制御により、利便性・快適性・省エネなどの多様なニーズに、いかに対応出来るかが重要になっています。当社では、住宅などの小規模空間には、ECHONET Lite規格の『TRee(ツリー)』システム、店舗などの中規模空間には、『Wlief(リーフ)』システム、オフィス・ホテルなどの大規模空間には『DALI(ダリ)』システムと、それぞれの規模に合わせた制御システムをご用意し、さまざまなニーズに対応できる体制を整えています。
平成7年入社照明空間設計LCR(東京・大阪合わせて12年)では、店舗施設を中心に景観照明設計まで行った。店舗施設マーケティングを8年経て現職。特機商品部の部長は4年目となる。違う発想のために心がけていることは、「仕事やプライベートで人の話をよく聞いて、さまざまな価値観を認めること」。
中でも、照明制御の国際標準通信規格である『DALI』を使った制御は、規格に準拠した器具であればメーカーに捉われることなく同一システムで制御できるため、「お客様の選択肢が拡がる」というメリットがあります。以前は照明器具と制御システムとが同一でないと動作保証を出来ないことが多く、メーカーを横断した照明制御の普及は進みませんでしたが、当社は専業メーカーのメリットを活かし、「顧客志向」の視点から取り扱いをスタート。2015年に東京ショールーム、2017年にはコイズミ照明R&DセンターにDALIシステムを導入しました。これら業界に先駆けた活動は、現在大きな資産となっています。また、DALI対応アイテムも発売当初の2015年は約300点でしたが、順次アイテム数を増やし、現在は約3000点となり、順次導入が進んでいます。
現在は、より説得力のある提案ができるように導入効果の検証にも注力しています。自社オフィスでの働き方改革など、従業員がその良さを体感する取り組みでは、時代に合ったさまざまな検証データが集まり始めています。
2017年に開発し、DALIによる照明・空調・ブラインドの制御システムを導入したコイズミ照明R&Dセンターには、開発部門だけではなく、企画・デザイン・照明設計LCR・営業・品質・アフターサービス部門など、多様な働き方をする従業員が集まっています。それぞれの働き方により、最適な職場の「あかり環境」は異なります。たとえば、「事務作業に適した光」、「クリエイティブに適した光」など、従業員自らが体感することで、オフィスにおける光と働き方の関係を検証。省エネ率や、勤務する従業員の残業時間について、データを収集・集計しています。
CO2の排出量は、予想していたよりも削減することができ、一般のオフィスビル(※)と比べて約46%の削減となりました(下図1)。また、一日の太陽光の変化に合わせて、DALIによる制御で色温度を変化させたことにより、快適性の向上に加えて、各自の時間意識を高めるきっかけにもなりました。そして、残業時間は、社内の働き方改革による取り組みとの相乗効果もあり、一人あたり年間約20%減少しました(下図2)。また、入居前と入居後に施設利用者の満足度を調査するPOEアンケートでも、さまざまな項目が改善するという結果が出ています(下図3)。さらに検証を重ねながら、実証データに基づいたトータルな照明提案で、お客様のニーズにお応えしていきます。