あかりのチカラで魅力的な空間づくりに貢献 お客様のご要望にプラスアルファの設計力で応えた
モデルハウスシリーズ

お客様のご要望にプラスアルファの設計力で応えたモデルハウスシリーズ

住宅三井ホームモデルハウス 世田谷レジデンス・芦屋レジデンス・神戸モデルハウス・神戸東モデルハウス

  • 所在地
    東京都世田谷区・兵庫県芦屋市・
    兵庫県神戸市
  • 事業主
    三井ホーム株式会社 様
  • 施 工
    三井ホーム株式会社 様
  • コイズミ照明
    担当者
    中山 美香(開発営業)、
    垣戸かいと こずえ(開発営業)、
    藤田 敦子(照明設計)

三井ホーム株式会社様(以下、三井ホーム様)は、1974年の創立以来、オーダーメイド住宅を中心に、24万棟を超える住まいづくりにたずさわってこられました。モデルハウスも全国に150ヵ所以上展開されており、『憧れを、かたちに。』というブランドステートメントの通り、その重厚感と洗練されたたたずまいで、訪れる人々を魅了し続けています。
コイズミ照明ではこれまでも、三井ホーム様の物件で照明設計を担当させていただく機会がありましたが、今回は特に、三井ホームの商品開発部様とともに作り上げた『世田谷レジデンス』、『芦屋レジデンス』、『神戸モデルハウス』、『神戸東モデルハウス』にスポットを当て、コイズミ照明の中山 美香(開発営業・首都圏住宅営業部)、垣戸 こずえ(開発営業・近畿住宅営業部)、藤田 敦子(照明設計・LCR大阪)の活動を取材しました。

提案力が試された照明設計

ご提案にあたり、照明設計のプロフェッショナル部門であるLCR大阪(Lighting Creative Room)の藤田は、三井ホーム様が要望されるイメージやキーワードを汲み取って具現化するために、これまで培ってきた経験やスキルに加え、より多くのイメージソースや情報収集が必要と考え、全国各地を訪れて、お客様との共通言語を増やしていきました。
当初の打ち合わせでは、藤田がライフワークとして長年積み重ねてきた“ホテルの居住空間スケッチ”が、モデルハウスの新しいイメージを共有する際に大いに役立ちました。これまで描き起こしたスケッチは100枚を超え、空間設計をする上での様々なインプット情報となっており、迷ったときのヒントにもなっています。
豊富な経験とアイデアの引き出しを存分に使い、三井ホーム様からの様々な要望にブラッシュアップを繰り返しながら応えることで、信頼関係を構築していきました。

イメージ スタジアムからオフィス、古民家再生PJまで、様々な物件の照明設計を手掛けるLCR大阪の藤田。コイズミ照明が開催するセミナーの講師も務めており、全国のインテリアコーディネーターの方々やお取引先様からも好評を博しています
イメージ 藤田が自分に課しているという旅先でのホテルスケッチ。「ただ見るだけではなく、きちんと採寸して描くことで、全体の構造や製作の意図を感じ取ることができ、新たな発見も多い」と語ります
イメージ 計画課題には随時、スケッチでフィードバックを行いました

三井ホーム様のモデルハウスには、50畳を超えるリビング・ダイニング空間や、3メートルを超える高天井などがあり、広々とした空間が特徴です。その魅力を最大限に活かしながら、インテリアトレンドも取り入れた居心地の良さを追求することは、これまで多岐にわたる照明設計をしてきた藤田にとっても、「アイデアの千本ノックが続いた」というほど、挑戦の連続でした。
しかし、それぞれのモデルハウスに建築設計の段階から参画したことにより(※1)、全体のバランスを勘案しつつ、これまでの住宅設計にはなかった新しい提案をすることができました。 ※1:『神戸東モデルハウス』を除く

住宅展示場にあるモデルハウスは、外からの見え掛かり(※2)に関わるポイントなど、照明手法でお手伝いできることが多くあります。「来場されたお客様が、このモデルハウスに入ってみたい、と思われるようなライティングを心掛けています」と藤田が語るように、『神戸東モデルハウス』(2017年9月オープン)では、リビング窓を外からのぞきこんだとき、真正面に見える壁を華やかに見せるため、内装家具の専門業者様と何度もディテールを検討し、印象的な「ひかり壁」を完成させました。
また、美しい和様式を諸所に感じられるこのモデルハウスの特徴を引き立てるため、リビング中央には木の質感を活かした突板(※3)のセードと新たに脚部をデザインしたスタンドライトを、また、ダイニングのペンダントライトは、リズミカルな表情が生まれるランダムな多灯吊りにし、ガラス材質ならではの軽やかさに加え、点灯時以外の時間帯でも華やかに見せることができるよう提案しました。 ※2:表に現れて見える建築部材の部分
※3:(突板=つきいた)天然木を薄くスライスした板材。天然木の持つ表情や風合いを活かせるためデザイン性の高い家具などにも使用される

イメージ 『神戸東モデルハウス』のリビング・ダイニング空間。階段横のひかり壁、ソファサイドに対に置かれたスタンドライト、ダイニングのペンダントライトが、室内だけでなく、外から見たときにも明るく華やかな印象を与えます
イメージ 日中でも外からの光を反射して輝くガラス製ペンダントライト。藤田の得意とするフラワーアレンジメントの要素も取り入れています

JR神戸駅にほど近い住宅展示場にある『神戸モデルハウス』(2019年6月オープン)では、スタイリッシュで洗練された空間コンセプトに合わせて、カラーウォールへの照射や、住宅には使われることの少ないライン照明など、他のモデルハウスとの違いを出すためのチャレンジングな要素も組み込んだ提案を行いました。 エントランスホールでは、入ったときの印象を意識し、正面のモールディング(※4)と、ライン照明で構成した天井からのあかりで、ダウンライトに頼らずとも十分に明るさを感じられるすっきりとした空間に仕上げています。 ※4:帯状に施された装飾的な仕上げ建材

イメージ ディテールにこだわり、天井の間接照明と正面壁のモールディングからのあかりでよりスマートでスタイリッシュな印象になるよう計画した『神戸モデルハウス』のエントランス
イメージ 全体が白で統一されたLDK空間に、上質なデザイン家具とアクセントカラーのブルーの壁が印象的な『神戸モデルハウス』。天井や窓側の間接照明は、暗がりを感じないよう、寸法を限界値まで調整した設計になっています

ハイレベルなプロジェクトに建築段階から参画
期待感から感動に変わる瞬間をあかりで演出

『芦屋レジデンス』(2018年7月オープン)と『世田谷レジデンス』(2020年8月オープン)は、三井ホーム様のプレミアム・ブランド『MITSUI HOME PREMIUM』のモデルハウスとして誕生しました。
首都圏住宅営業部の中山は、「これまでも、三井ホーム様とは長年にわたりお付き合いをさせていただいておりますが、新たにスタートしたレジデンスモデルでは、試住を想定した設計など、これまでにない試みも多く、わたしたちコイズミ照明に求められる期待度の高さを感じました」と、プロジェクトの重みを語っています。
その第一弾となった『芦屋レジデンス』は、住宅街の中に建つ立地にも配慮し、一般的な総合展示場のモデルハウスとは異なったアプローチを意識しました。全体を通して重視したのは、レジデンスならではの“期待感”と、それを“感動” へと繋げるための演出です。

イメージ 三井ホーム様本部との窓口を担う中山。豊富な経験値で、社内プロジェクトチームのハンドリングをこなしながら、首都圏の開発営業として『世田谷レジデンス』も担当しました

それぞれの居室や空間ごとに多くの課題がありましたが、照明設計担当の藤田が特にやりがいを感じたことのひとつは、高天井の見せ方でした。高さを活かしながら明るさも確保するためには、設計段階での緻密な計算が欠かせません。照明と空間のバランスを考えた天井の設計アイデアもさることながら、『芦屋レジデンス』で別注商品となった象徴的なペンダント照明もその一つです。三井ホーム様とともに、藤田がコイズミ照明製作室(※5)と微調整を繰り返し検証しながら作り上げたペンダントは、空間を上下にやわらかく照らすことによって、天井の高さを際立て、上部への解放感を生み出しています。 ※5:5つ星ホテル等への納入も手掛ける、オリジナル照明製作の専門部署

イメージ 三井ホーム様のイメージを実現するため、藤田とコイズミ照明製作室が細部にわたってベストなバランスを何度も検証した、『芦屋レジデンス』の別注ペンダントライト
イメージ 訪れた人の期待を裏切らない『芦屋レジデンス』のリビングルーム。奥にあるダイニングスペースへと続く広々とした空間を、層になった天井と壁の間接照明、ダウンライトが効果的に彩ります

『芦屋レジデンス』に開発営業としてたずさわった垣戸は、「新築されるオーナー様からは、“芦屋レジデンスのようにしてほしい”といったお声もあると伺っています」と、照明メーカーとして貢献できた喜びを感じています。
営業担当として、完成までには細やかな対応も必要でした。例えば、通常の住宅設備とは違い、施設用の照明器具を多く使用しているため、電気工事担当の方への丁寧な説明も、重要な仕事でした。「電源の設置位置や配線の収め方など、住宅部門の営業としては通常立ち入ることの少ない部分だったので、今回のプロジェクトで新たに学べたことが非常に多く、現場の方々とも一歩踏み込んだ会話ができるようになりました」(垣戸)。

イメージ 近畿住宅開発室の室長として、若手からの信頼も厚い垣戸。細やかな対応力で、お客様からのご要望にも真摯に向き合います

同シリーズの最新(※6)モデル『世田谷レジデンス』は、三井ホーム様より、藤田を照明設計の担当者として単独指名された物件です。その期待に応えたいと、コイズミのメンバーもあらためて一丸となり、プロジェクトに挑みました。
このモデルハウスでは、“期待感から感動へ”というレジデンスシリーズのコンセプトに加え、“選び抜かれた素材を際立たせる”というミッションがありました。
その中で、藤田にとっても初めての試みとなったのが、三井ホーム様の思いが込められた、オリジナル屏風への照明計画です。入ってまず目に入るこの屏風は、ガラスの中に和紙が挟み込まれたデザインとなっており、その模様やガラスの厚さによってひかりの見え方が変わるため、最も美しく照らすことができるバランスを導き出すために、何度も検証を重ねました。
実験の場となったコイズミ照明のショールーム東京には、三井ホーム様にもお越しいただき、和紙のデザインや、それを引き立てるためのガラスの種類検証、そして質感を損なわずに明るさを保つための照明器具の選定と、ふさわしい照射距離について、それぞれのプロが集まって意見を出し合いながら、時間をかけて作り上げていきました。 ※6:2021年3月現在

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和紙、ガラス、照明のベストバランスを見つけ出すまで何度も検証を重ねた『世田谷レジデンス』の屏風。
季節やシーンに合わせて調光もできるよう設計しています

また、『世田谷レジデンス』のベッドルーム天井には、2つのオーバル形が重なる特徴的な間接照明が用いられており、ここでは特に藤田の設計経験が活かされました。見る角度によって、楕円に見えたり円形に近い形に見えたりするオーバルの表情はとても魅力的ですが、不均等に重なる形のひかりを最もバランスよく照らすことは難易度の高い試みでした。藤田はこれまでの経験値を活かし、細かな寸法の微調整によって、美しいひかりのグラデーションを生み出しました。
その他にも、西日が燦々と注ぎ込むバスルームでの間接照明提案や、雰囲気を一転させるライン照明を使ったシアタールームなど、照明の役割を存分に発揮できるような計画を実現させていきました。
「課題や問題をクリアしていくことができたのは、社内での役割分担がしっかりしていたことも大きかった」(藤田)というように、三井ホーム様や関連会社様からのお問い合わせには、商品知識の豊富な中山や垣戸が迅速に対応。「頼りになるチームのおかげで、アイデア出しや照明設計に徹して打ち込むことができました」(藤田)と、社内の連係力によってプロジェクトを進めることができたことを実感しています。

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外にもれる間接照明のひかりが、モデルルームへの期待感をよりいっそう高める、『世田谷レジデンス』のマスターベッドルーム。天井にオーバル形にデザインされた間接照明は、立ち位置によって楕円形にも円形にも見え、豊かな表情を楽しむことができます
イメージ 『世田谷レジデンス』のバスルーム。天井には間接照明をあえて用いず、ダウンライトをメインに、計算された壁の間接照明で、西日に負けないあかりを実現
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『世田谷レジデンス』のシアタールーム。映画等の鑑賞時には、スマートスピーカーと連動させることで、ライン照明が徐々に消え、中央のダウンライトだけが残る演出も。非日常感に浸ることができます

「完成後、三井ホーム様からお褒めの言葉を頂戴したときは、ご期待に応えられたのだと安堵しました。そして何より、あかりの効果がお客様に伝わり、貢献できたことが嬉しく、チームの励みになりました」(中山)。
多くの課題と挑戦が詰まった取り組みでしたが、コイズミ照明にとっても、それぞれのモデルハウスへの思いが詰まったプロジェクトとなりました。『お客様からのお声に深く耳を傾け、より良いご提案をしてカタチにしていく』、『難しい状況下でも、情熱を持って根気強く取り組んでいけば、必ず期待に応えられる』。そんなKOIZUMI SPIRITS をこれからも受け継ぎながら、あかりでお客様に貢献し続けていきます。