撮影: 馬場祥光
ビジネスにも観光にも利便性の高い本町駅徒歩5分の位置に佇む、大阪グランベルホテル
「大阪グランベルホテル」は、大阪の2大繁華街であるキタ(梅田) とミナミ(なんば・心斎橋) の両地点にアクセス良好な、「本町」の新ランドマークホテルとして、2021年4月にオープンしました。
コイズミ照明では、2018年の着工時期からプランテック様のお声がけで、いち早くLCR(※1) 東京が、FOH(※2) の照明計画を担当しました。その後2020年に入り、家具や什器、客室家具照明の決定時期を見据え、FFE(家具・什器・備品)や、客室照明等の納品を担当される三井デザインテック(以下、三井DT) 様へのアプローチを開始しました。
家具担当の井上と、照明担当の長谷川は、コイズミだからこそ実現できる「お客様にとって、よりメリットの大きい提案」を第一に考え、ホテル客室における家具と照明のワンストップサービスでの複合効果を積極的にお伝えしていきました。
三井DT様と、以前に客室家具製作で協働したホテル案件(https://www.koizumi.co.jp/business/synergy/case/case01.html)では、その対応と実績を高く評価いただいており、今回は家具だけでなく客室照明も含めた提案を目指し、全体のご要望をクリアにしたうえで、チームとしてどう実現できるかに集中した活動を展開。その思いと提案が通じ、コイズミに任せていただけることになりました。
※1:「Lighting Creative Room (ライティング クリエイティブ ルーム)」の略。商業施設やホテルなどの照明設計を中心に担当する部門。営業開発、商品開発、別注商品製作部門の中心的な役割として、お客様のニーズに合わせ積極的にサポートするプロフェッショナルチーム
※2: 「Front Of the House(フロント オブ ザ ハウス)」の略。客室・宴会場、ロビー・エレベーター部分など、ホテルでお客様が使用される面積部分のこと
三井DT様から特にご要望があったのは、「すべての仕上げのグレードは落とさずに、コストも重視した提案をしてほしい」ということでした。そこで、ご要望を具現化するため、使用素材を一から見直し、グレードダウンすることのないよう様々なVE(※3) 案を提案。協働で模索しながら、開発や設計だけでなく、製造・購買などの工程でも具体的な改善を一つ一つ試み、「質とコストの両立」を実現させていきました。
プロジェクトリーダーの井上は、「コイズミなら、家具と照明の窓口を1本化できることで、指示・連絡がスムーズになり、全行程での時間短縮や発注ミスの防止などに繋がります。総じて価格的メリットが見込まれることも、グループ力の強みです」と語ります。仕様確定に至るプロセスにおいても、「部門として、FOHの照明計画段階から、客室照明と家具の受注後、納品に至るまで、一貫して情報共有ができていたことは大きかったです。今回のチームでも常に図面を共有化し、全体の統一感やレスポンスのスピードを意識しました」(家具製作リーダー 大場)。品質面では、「照明と家具で生産工場は違いましたが、取り付けミスのリスクを低減するため、照明の治具(※4) を海外の家具工場に送り、出荷検品時の確認を徹底しました」(照明製作室 穴吹)。
担当者それぞれが発想力を発揮し、安定した品質の製品をお届けすることに注力。照明の開発営業担当の長谷川も、「たとえば家具と照明が別々のメーカーだった場合、治具の発注一つとっても、お客様にはそれだけ手間が増えてしまうことになります。コイズミでの窓口1本化で、より効率と品質が良くなることを実感していただきたいと思っています」とお客様視点での考え方を大切にしています。
※3:「Value Engineering (バリュー エンジニアリング)」の略。性能や価値を下げずにコストを抑えること。 また、過剰な部分の仕様や性能を下げ、その他の部分のグレードを上げることで、全体の価値を向上させること
※4:本件では、ヘッドボードに埋め込むライトのコントロールパネルのサンプル
プロジェクト遂行中、依然続くコロナ禍での品質確保は、お客様へ製品を提供する上での重要な課題でした。通常行っていた海外工場への訪問検品の代替案として、すでにWEBによる検品方法は実施していましたが、今回は海外への渡航が一切できない、より厳しい状況下でした。そのような中で、不安要素をできる限り取り除き、品質の確保について安心していただくため、WEB検品会はコイズミだけなくお客様同席のもと実施。動作確認が必要なものは工場からの動画を共有し、画像一つ一つについても、チーム内でのコメントを共有しながら、より慎重に進めました。
「今後も、WEB検品は有効な手法として定着させていく必要があります。高品質な製品をご提供するために、リアルでの検品作業だけでなく、WEB検品もより精度を高めていくべきだと考えています」(大場)
納品前の段階で課題となったのは、コロナ禍の影響でホテルのオープン日程が変更となり、商品の納期が2度ずれ込んだことでした。それに伴い、工場への生産指示後に全体の工程管理を大きく変更する必要性がありました。調達・生産管理を担当する宮武は、「海外工場へ生産工程の再指示を行い、港でのフリータイム期間に加え、契約倉庫の保管期間を最大限使うなど、お客様にとってベストな方法を模索するため、チームで協力し、様々な方法を駆使しながら乗り切りました」と振り返ります。ここでも担当業務を全うする責任感と、チームワークを活かした行動力が実を結びました。
照明の製作担当として、家具との連携を行った穴吹も、「照明器具のバックサイド担当として、コストと納期はしっかり守り、フロント業務は長谷川をはじめ、チームを信頼し任せていました。納品時の現場では、家具担当者と一緒に配線の取り回しを確認するなど、同じ会社だからこそのスムーズな現場対応が可能でした」と話します。
プロジェクトリーダーとしてハンドリングした井上は、「細かなことでもミーティングを行い、それぞれの役割を明確にしながら進めました。営業面でも、家具と照明で連携し、情報共有を怠らないことで、今後の案件にもつなげていきます」と、社内連携の良さとグループの総合力で、お客様ニーズの実現に貢献していける自信を深めています。
三井DT様からは、前回のホテル案件に続いて、今回も「非常に満足のいく仕上がりだ」と、最大限の評価をいただきました。また、試泊に訪れたという業界関係者の方からも客室家具についてお問い合わせが入るなど、確実にお客様からの評価につながっています。さらにその後、三井DT様が新たに担当される別のホテル案件でもコイズミをご指名いただけたことは、チームにとってさらなる励みとなりました。
お客様の課題解決と満足度向上のため、グループの総合力を活かしながら、今後も社内の連携力に磨きをかけて取り組んでいきます。